ハウス栽培ぶどう園、樹下かん水設置例(約40a)

概要

生産品目、種別など

果樹(ぶどう)

圃場や栽培形態

ハウス栽培(約40アール、9連棟)

場所

千葉県香取市

施工時期

2022年2月

施工方法

設置作業は当社へご依頼

施工内容

導入の目的・内容

地表部での散水チューブ使用から、常設の頭上配管、樹下かん水への切り替え(第2期)。

主な構成など

水源は新設の井戸(圧力タンクあり)。
半自動洗浄スクリーンフィルター(50mm)を設置。
ハンガースプレーセットによる樹下散水設備(頭上配管)を常設とする。
簡易的なタイマーにより、自動停止なども可能な構成とする。

主な使用部材

  • くるくる亭 楽太朗【RI050SA】
  • アルミ架台【アクアオリジナル】
  • ハンガースプレーセット【DN885、青ノズル、AM-B付、ストッパー無し】
  • 塩ビ本管(50A)、ポリパイプ(外径40mm、32mm)
  • 乾電池式自動かん水タイマー【DC7E-BT(50mm)】

要所の写真と解説

(1)施工前の圃場

前回、第1期工事で約17アールの圃場に設置したかん水資材一式を、より大きな圃場にも設置することになりました。
散水のたびに敷設/撤去していた散水チューブを、常設型の樹下かん水(頭上配管)に置き換えます。
いつでもすぐに散水が可能で、普段の作業の邪魔にもなりにくいというのが一番のメリットです。

今回は乾電池式のタイマーも併用することで、自動停止などもできるようにしています。


(2)井戸新設、圧力タンク

今回も、圃場の側に井戸と圧力タンクが新設されました。
ポンプの選定にあたっては、最長となる列の長さとスプリンクラーの設置数が基準となり、少なくともその1列分をまかなえる水源とする必要があります。

今回は1列ごとにバルブを開閉し、散水時に手動で切り替えています。
もし複数列を同時に散水したい場合には、その合計水量に応じた能力のポンプが必要です。


(3)ポリパイプでの頭上配管

 

SSでの防除作業などの際にスプリンクラーが邪魔にならないように、枝管(ポリエチレンパイプ)はハウスの谷の部分に設置し、支柱の近くにスプリンクラーをぶら下げています。

今回、9連棟ハウスの谷部に8列設置し、スプリンクラーの取付間隔は3m、隣の列とは5m離れています。(圃場の広さやレイアウトや散水範囲に応じて、棚上に配管したり、取付間隔を調整したりする場合もあります。)

なお、観光農園で来客が多いことなども考慮して、やや高い位置から低い位置まで散水部を調整できるよう、長めのチューブ長としています。


(4)半自動洗浄フィルター

フィルターは半自動洗浄タイプの「くるくる亭 楽太朗」を設置しました。
スクリーンメッシュが内蔵されていますが、普段のお手入れは、排水しながらゆっくりとハンドルをくるくる回すだけで完了できます。

(今回はインディケーターを付けずに、定期的に洗浄していただく仕様としています)


(5)同時に散水できる列数

設計にあたっては、スプリンクラーの必要数、水源(ポンプ等)の能力などを考慮して、経済的な口径での配管やブロック分け(散水範囲の分割)をします。

今回は長い列では90mを超えるため、太い口径のポリパイプで始めて、途中から口径を落として接続した列もあります。(内径36mmと26mmを接続)

標準的な水量で同時に散水できる列数は、1~2列としています。


(6)タイマー

今回の導入目的は、散水設備管理の省力化ということで、自動管理を目指すものではありません。
このため、散水する列の切り替えは、手動でバルブの開け閉めを行う必要があります。

ただし「最初の散水は自動で開始・停止する」「30分後に自動停止する」といった管理ができるように、乾電池式のタイマーを入れています。

将来的に、電磁弁を各列に追加してコントローラーで制御することで、すべての列の散水を自動管理できるように拡張することも可能です。
(例:2列ずつ、決まった時間に順繰りに散水を実施するように設定、など)。

 


運用状況(2022年9月撮影)

 
 

今年は梅雨明け時期や降雨量などが例年と大きく異る気象条件で、散水管理が細かくできるように設備拡張していたことは、非常に有意義であったとのことでした。
園内には大きく立派な果実が実り、この日もたくさんのお客様で賑わっていました。